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【読書記録2】言語化力 言葉にできれば人生は変わる

読んだ理由

 日々の短い会議の中で、的確に共通課題を定義し、解決策を合意することに苦慮している。的確な表現ができれば、より円滑にコミュニケーションができる場面も多々ある。人間は日頃から考えていることしか言葉にできないとか、現状を言葉にすることで課題が見えるとはよく言うが、どのように実践すべきかを探りたい。

著者

 1983年生まれ。博報堂で「やっちゃえNISSAN」などのキャンペーンを手掛けた後、2017年に独立。株式会社GOを設立し、企業や自治体の課題解決に挑む。著書に『アイデアのつくり方』『未来をつくる最強のアイデア術』など。

 

要旨

 普通の人が言葉で世の中を動かせる時代になった。素早く的確に言葉を口にするにはプロセスがあり、更に強い言葉や人を動かす言葉をつくるにはそれぞれポイントがあり、使い方次第で相手との関係構築ツールにもなる。個人としては人生の目的を定義し、過去の出来事も力に変えることもできる。

著者の主張

序章 すべては言葉で変えられる

 SNSを通じて誰もが言葉を駆使して何かを変えられる時代になった。「イクメン」「おひとりさま」といった言葉ひとことでも社会現象を起こせる。

 また、著者の家が破産した経験から「LIFE is Contents」という考え方も前向きな姿勢を持つのに効果的だとしている。一見マイナスな苦境でも、ネタや武器、財産に変えることができる。さらに、努力をせずに結果を出すための努力に注力することで、仕事を面白くできる。

 

第1章 「言葉にする」方法

 言語化にはステップがある。

  1. スタンスを決める
  2. 本質をつかむ
  3. 感情を見つめる
  4. 言葉を整える

 ニュースなどを通して世の中と向き合うスタンスを決めると瞬発力が得られる。また、固有名詞を抜いて構造を抽象化・客観的にする。次に掴んだ本質をスタンスと照らし合わせ、感情がどう反応したか、その理由を突き詰めることでオリジナリティを出す。最後に与えたい印象に応じて言い換えを行う。映画の感想、仕事がうまくいかない理由をシミュレーションするのもよい。

 これらの言語化を行う際、あれもこれもと盛り込むよりランキング化をするとよい。発展形として、これを相手目線にする。その他にも水平・垂直思考、比喩などのテクニックはあるが、下手でも発言すればよい。失敗しても正しくない案が出たという結果が得られる。引用やテンプレート(3つあって...)も有用なアプローチである。

 

第2章 印象に残る言葉、一生残る言葉をつくる

 印象に残るパンチラインをつくるには、短くシンプル、意外性、学び、すぐやれることが必要だ。さらに強い言葉を作るには、視点を上げる、一般化、逆張り、ゴールから逆算の4つのポイントがある。

 更に、常識は過去のものである可能性を考慮し、WHYを突き詰める。自分に関係ないことにコメントするには、個人的な感覚やエピソードを添える。PV数より実際に購入した、深く刺さった数が重要。

 

第3章 言葉で人を動かす

 言葉は変化を起こしてこそのものだ。人を動かすには、3つのポイントがある。

  1. 目的を明確にすること
  2. 目的に向かうプロセスを明確にすること
  3. 主語を複数にすること

 何を目標に、どこまでやればいいのかを明確にしつつ、一緒にやる姿勢を見せることだ。また、目標は数値で建てられがちだが、ビジョンがあった方がよい。

 言葉は関係構築にも有効であり、著者は相手方と対等な関係とわかる表現(提案→企画、修正→更新)を使っている。何気なく使う記事化、バズるといった言葉も短絡的な意図が透けて見えるため、言葉選びはセンシティブなものだ。

 多くの日本人は交渉、つまりお互いが欲しいものの探り合いがうまくない。交渉は戦いではなく、言葉を使ってより良い結論を導く共同作業だ。

 

第4章 言葉で未来を指し示せ

自分の幸福を言葉で定義している人は強い。同じ仕事でも、目指すビジョンを意識すると姿勢が変わる。過去の’出来事も今を戦い抜くための武器に変えることができる。同じく人生の目的を定義するには、何をしている時が一番楽しいかがで、今後変わる可能性があっても目的を信じることが強さに繋がる。

 

感想と意見、疑問

 著者は広告を取り扱う立場上、キャッチーで力のある言葉に主眼が置かれている。そういった強い表現を用いづらい、正確な言葉遣いが求められる場面のある技術職であっても、個人での言葉の使い方においては参考になる。

 特に幸福や人生の目的については役に立ちそうだ。これまで家を買う、仕事で海外に行く等々たくさんの目標を立ててはクリアしてきたが、今後はライフイベントにも乏しく、次の目標を立てられずにいる。また、仕事についても2-3年も続ければ慣れてしまって意義を見出せなくなることもある。その点で、著者の言い換えの技術や手法は有用だと考える。

Next Action

  • 今後の人生の目標を言葉にしてみる
  • より達成したくなる仕事の意義、目標を言葉にしてみる